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家づくりコラム木の持つ力フィトンチッドって何?

こんにちは、ダイシンビルドWEBスタッフの後藤です。
先日は大勢の方に吉野ツアーに参加いただけ、大盛況で非常に楽しい日となりました。
都合が合わずツアーに参加できなかった方、吉野ツアーを後から知られた方など、参加してみたいなーという方はぜひ次回はご参加くださいね!
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と、こんな風に先日の吉野ツアーの件から今回のコラムを始めましたが、せっかくなので内容も無垢材のコラムで書いておりましたフィトンチッドについてお伝えしたいと思います。

そもそもフィトンチッドって何?

あまり耳慣れない言葉「フィトンチッド」について説明させていただく前に、皆さんは山や森に入ったとき、すがすがしい爽やかさを感じたことはございませんか?
木の多い空間に足を踏み入れると、周りの空気が変わったような、少しヒヤッとするような感覚です。
言葉では上手く説明できない、まさに体験したものだけが分かる感覚ですが、面白いことにこの「感覚」が起こる理由はすでに解明されているのです。

少し話がずれますが、弊社の代表である清水はよく、「美味しいものは食べてみなきゃわからない・高断熱住宅の心地良さは体感してみなきゃわからない」と口にします。
きっと、コラムを読んでくださっている皆さんも一度ならず二度三度と、メルマガやブログ、本人と会った際に耳にされているのではないでしょうか。
「感覚」という言葉には、「目・耳・鼻・舌などでとらえられた外部の刺激が、脳の中枢に達して起こる意識の現象。何かを感じること」という意味があります。
言葉でうまく説明できない「感覚」ですが、例えば高断熱住宅で体感する「心地いいという感覚」にも理由があり、弊社ではその「心地いいという感覚」をどんな土地でも感じていただけるような家づくりを常に行っています。
それができるのは「心地いいという感覚」を覚える家の建て方、計算の仕方がしっかりと確立されているからです。

このように、感覚の多くには理由があり、少し夢が無いように思われるかもしれませんが、感覚を生み出す元はしっかり存在しているのです。
森が心地いいのも、夏なのに涼しく感じる感覚もすべて、直訳で「植物が殺す」という名を持つ「フィトンチッド」にあります。
フィトンチッドとは、木の持つ成分の1つで「フィトン」には植物。「チッド」には殺す。という意味があります。
ますますよく分からない言葉になってきましたが・・・、
植物は一度根を下ろすと、その場所で生き続けなくてはいけません。
葉を枯らしたり幹を痛める樹病菌を殺したり、虫や動物が原因で傷ついた際にも傷口を菌や細菌から守る必要がありますし、そもそも虫よ寄せ付けない術を持たなくては身が守れず枯れて朽ちてしまうのです。
動くことのできない植物は、進化の過程で自分自身から強い物質「フィトンチッド=植物が殺す」を出すことで身を守る術を得ました。

なぜフィトンチッドが心地いいのか

森や林など、なぜ木が多いところが心地いいと感じるのか。
フィトンチッドがあると心地いいのかという理由は非常に簡単です。
それは、フィトンチッドが空間を常に浄化させているからです。
森や林の中で排せつ物や死骸の匂いが気になったことはございますか?
ほとんどの方は、そういった経験はないかと思いますが、それもそのはず。
森や林の中に当たり前にある動物や虫の排せつ物や死骸・カビなどは、多くの植物で覆われた森や林の中ではフィトンチッドの作用で浄化され蔓延しません。
そのため、心地よく感じることがあっても「臭い」と感じることはほぼないのです。
特にフィトンチッドの成分は樹種によっても違い、
檜は害虫や細菌に強く、杉は空気の汚染物質に強いという特徴があります。

少しお話を前回のコラムに戻しますが、無垢材のコラムの際にもお伝えした法隆寺のお話。
法隆寺の宝物館には1300年以上前から宝物が収められているのは有名な話であり、年に一度の宝物展には多くの人が訪れます。
人々を1300年もたった今なお魅了し続け、圧倒するほど美しい姿を見せてくれる法隆寺の宝物は、宝物館と共に、宝物一点一点に合わせて作られた木箱によって守られているのはご存じでしょうか。
虫を寄せ付けない効果の強いフィトンチッドを持つ檜で宝物館を建て、空気から汚染物質を取り除く力が強いフィトンチッドを持つ杉で木箱を作ることで、1300年宝物の劣化を防いできました。
1300年以上前に実行されたと考えるとますます瞠目に値すると共に、きっと長きに渡る痛い経験の結果でもあったのだろうなと察せられます。

このように、フィトンチッドと一言で言っても、効果効能は植物によって様々です。
森や林ではそのさまざまな効果効能が合わさることでより強い浄化が起こっているため、人は心地よく感じることができるのです。

人が得られる効果を詳しく知ろう!

フィトンチッドは体にも優しい

人に様々な効果をもたらすことから、世界中で研究が進められている「フィトンチッド」。
その効果がなぜ発生するのか、そのメカニズムはすでに解明されており、フィトンチッドに含まれる揮発性物質が部分酸化するときに出てくるマイナスイオン物質によるものだと分かっています。

現在フィトンチッドは、除草剤や虫よけ、殺虫剤の他、抗生物質にまで利用されているほど強い力を持っていますが、何かに変えなくとも簡単に効果が得られるのがフィトンチッドのすごいところです。

例えば、木の香りを嗅ぐと癒しを感じませんか?
これもフィトンチッドによるもので、実際、血圧が下がり、脈拍も落ち着き、身体的ストレスや精神的ストレスを感じたときに分泌される、コルチゾールの濃度が下がることが知られています。
フィトンチッドの働きは心拍や脈拍だけでなく、脳や副交感神経にも作用することが研究で分かっています。
例えば檜の葉から抽出した精油の香りを90秒間嗅ぐ実験を行ったところ、脳の活動を示すヘモグロビン濃度が下がり、脳前頭前野活動を鎮静化させるという結果が出ました。
天然乾燥した檜のチップでも同様の結果が得られています。

※画像はすべて、森林・林業学習館サイト様よりお借りしております。

その他にも、一説ですがフィトンチッドにはがん細胞を攻撃して排除する免疫細胞NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる動きがあり、ドイツでは実際に森林浴が医療行為として認められているという事実があります。

森林浴を度々行うのは、例え国土の7割以上が山地である日本でもなかなか難しいのが現実です。
でも、先にお伝えした通りチップや材であっても無垢の状態であれば同様の効果が得られるのが、フィトンチッドのすごいところです。
ゆったり過ごしたい時やリラックスしたいとき、疲れたなと感じたときには、ぜひ無垢材を枕元に置いてゆっくり休んでみてくださいね。

フィトンチッド本来の力を生活に取り入れよう

チップや材でもリラックス効果が得られるフィトンチッドは、もちろん本来の力である浄化作用や、除菌・防菌にも効果を発揮します。
特に、除菌・抗菌・防虫はフィトンチッドの存在理由そのもののため、非常に効果が高く日本では古来から日常的に利用されてきました。
例えば、食べ物を包む木の皮であったり、最近流行のお弁当箱「まげわっぱ」、桐の箪笥もその一つですね。

ただ、植物の種類、樹種によってより得意とする作用が違います。 生活にフィトンチッドを取り入れてみたいなという方は、ぜひ下記の表を参考にしてください。

抗菌 ヒノキ・ヒバ・サワラ・ネズコ・タイヒ・ユーカリ
防蟻 ヒノキ・ヒバ・サワラ・コウヤマキ・イヌマキ・センダン
防ダニ ヒノキ・ヒバ・サワラ・スギ・アカマツ・ベイヒバ・ベイスギ
防虫 クス・センダン・ユーカリ
防臭 トドマツ・ヒバ

まとめ

常々無垢材が好きだと思っていましたが、その理由は素直に他の素材よりも圧倒的に心地よかったからです。
そんな単純な理由の元が、無垢材が自分の命を守るための力だったと知ったとき、自然の持つ力を再認識させられました。

木は切られても生きているのか死んでいるのか。
昔から議論が重ねられ、今も尚答えが出ていない疑問の1つです。
ただ、木の持つ力が材になった後も続いていくのは事実であり、どれだけ力を持ち続けてくれるのか。
1300年以上経ても尚分からない以上、人間の時間では知る由もないことです。

山守が何代にも渡って守り育てるのが、家づくりには欠かせない大いなる力を持った木。
家づくりの際には、木の持つ力。
材種の得意とする効能を取り入れることもぜひ考えてみてくださいね。

後藤 泉


阪神淡路大震災で自宅が半壊。その後慌てて建て替えた家は、気になる箇所が多く、夏は暑く冬は寒い家でした。そんなことから住宅業界に興味を持ち、ダイシンビルドのWEBスタッフを務めさせていただくようになりました。どうぞよろしくお願いいたします。プロフィール写真は、我が家の愛猫です。