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家づくりコラム器としての家の大切さを5×緑から考える

こんにちは、ダイシンビルドのWEBスタッフの後藤です。
前回のコラムにて、新しいブログを始めることになったとお伝えしましたが、ついに先日、設計の佐藤がブログデビューを果たしました!
ずっと、書いて書いてと言っていたので、めちゃくちゃ嬉しかったのですが、何分弊社一の活字人間。
話していても知識が追い付かないことばかりなんですが、今回もやはり・・・で。
タイトルからして意味が分からず、調べても直訳で良いのかどうかも分からなかったため、思わず「どういう意味ですか?」と質問をしてしまいました。

佐藤からは、「Bon appétit ! 」の直訳「どうぞ、召し上がれ」の意味であり、私たちが作る家は「器」ですから、そこに暮らしという彩りを添えて下さいという意図だと教えてもらい、ようやく理解できたという流れがありました。

言葉の使い方って、同じようで人それぞれ意図することも感じ方も全く違いますよね。
そう考えると、佐藤がブログで書いていた、工務店や設計士はシンプルで性能の高い器を作り、お施主様ご家族様がその器を自分たちの暮らしに染めていくのが家だという考え方。
設計した家を「作品」と呼ぶ設計士が多い中、凄く大切な視点、どれだけベテランになっても無くしてはいけない視点を持ち続けている、弊社の設計士はやっぱりいいなーと実感した次第です。

と、弊社スタッフの素晴らしさに喜んだところで、今回のコラムでは、まさに上記の視点を常に持ち続け先を見続けられているランドスケープデザイナー「田瀬理夫」先生の5×緑についてお伝えさせていただきたいと思います。

ランドスケープデザイナー田瀬理夫先生って?

ランドスケープデザイナー田瀬理夫先生

ランドスケープデザイナー田瀬理夫先生は、造園家です。
造園家というと少し耳慣れない言葉であると同時に、庭師と何が違うのかと思われるかもしれませんね。
少しご説明させていただくと、庭師は主に個人の庭の設計や施工、管理を行うのが仕事で、造園家は、庭木一本から都市の環境開発まで、1から設計し作り上げることが仕事です。
ちなみに、家づくりの現場ではよく耳にする、植木屋さんは樹木の剪定や移植を主に手掛けられ、植物の管理の専門家です。

庭師、造園家、植木屋。
植物に携わるご職業の中でも、造園家は規模が大きな仕事をされることが多く、田瀬先生の主なお仕事も、アクアマリンふくしまや、国営沖縄海洋博記念公園郷土村おもろさうし園計画等々、とにかく大規模です。
中でも、今見ても非常に新しく、田瀬先生が時代の先を見ていたことが判るのが、1995年に建てられた「アクロス福岡」です。
アクロス福岡は、福岡の新たなランドマーク、国際と文化交流の拠点を目指して旧福岡県庁跡地に建設されました。
コンセプトに「山」を掲げて計画されたアクロス福岡は、南側の天神中央公園に面して階段状のステップガーデンを設け、そこへ大規模な屋上緑化を施しました。
その規模なんと、国内最大規模の5,400㎡。
完成当時は圧巻だったその姿。
30年近くたった今では、都市の中に森があるのが当たり前と言えるほど風景に馴染んでいるのが面白くもあります。

アクロス福岡は、景色に溶け込んだ緑ですが、100%人の手によってつくられた生態系であり、「緑との共生」という目的で作られた人工物です。
ただ、田瀬先生が未来の姿をイメージした上で植物に関する全てを監修することで、植物が健やかに育てる環境が整い、管理に携わり続けられることで森として維持されているのです。

設計を行う人間は、「今」だけではなく、「未来」を見て計画を立てることの大切さ、「維持」するためには丁寧に手入れをし続けることが大切だということを、実際この目で見て知ることのできる貴重な存在が田瀬先生の代表作でもある「アクロス福岡」では無いかと思います。

紅葉するアクロス福岡

田瀬先生とダイシンビルド

そんな、未来を考えて「今」を作ることの大切さを教えてくださる田瀬先生ですが、弊社との関係は少し古く、弊社モデルハウスの外構も田瀬先生に監修いただいたものとなります。
田瀬先生は、地の植物を大切にされており、循環ということをとても重要視されています。
そのため、弊社モデルハウスには植物はもちろん、小さな池があり、そこにメダカがすんでいるのが特徴ですが、面白いことに、地の植物を植え、水場を作ったことでそれまでは来なかった、地の鳥がたくさん飛んでくるようになったそうです。
もうかれこれ15年近く前の話となりますが、地の植物を植えるという意味と水辺の大切さを小さな庭が教えてくれている気がしました。

モデルハウス以外でも、里山住宅博や家づくりの現場でお世話になることも多く、弊社の庭造りの考え方は、田瀬先生の影響を大きく受けています。
ただ、元々庭に対する考え方があった結果、田瀬先生に出会うことができ、一緒にお仕事が出来るようになったのか。
田瀬先生の考え方に共感し、一緒にお仕事が出来るようになったのか。
どちらでもない、別の切っ掛けがあったのか。
それは清水に聞いたことが無いので分かりませんが、弊社の庭造りでは田瀬先生が考案された「アースワーク」用の金網資材である5×緑のスタンダードワークスを度々使用させていただいております。

奥の右がモデルハウスが移行施工時にご指導くださる田瀬先生、手前が清水

5×緑って何?

先でもお伝えした通り、5×緑とは、田瀬先生が考案されたアースワーク用の金剛資材です。
先生のサイトには、「5×緑では、里山にある日本在来の植物を使って、都市風景の緑化を手がけています。
私たちは、土壌を失った都市部にも日本らしい優しい緑を取り戻すために、金網でつくったカゴと軽量土壌に多様な里山植物を植え込んだ、独自の緑化システムを開発しました。
美術館などの大規模建築の緑化から個人邸まで、また、デザイン・設計から施工、メンテナンスまで、お手伝いすることができます。お問い合わせください。」と書かれている通り、 緑が配されたフェンス、門扉、門柱(ポスト インターフォン、ランプ内蔵)、宅地の高低を整理する土留、階段などがあります。

5×緑のスタンダードワークスには工事が必要な物から、里山ユニットという名で販売されている手軽な緑化ユニットまであり、どんな場所にも里山が取り入れられるのが特徴です。
5×緑のスタンダードワークスを利用した外構づくりは、弊社でも請け負わせていただいておりますし、まさに弊社モデルハウスが、先生の5×緑スタンダードワークスを利用したものとなっているので、気になる方はぜひ一度ご覧くださいね。

ちなみに、里山ユニットは、里山の風景を写すことを基本に、日本在来の植物10〜25種類を組み合わせて作られているのが特徴です。
5×緑のスタンダードワークスの特徴的な金網で作られたプランターは、側面からも植物が育つように植えることができるように考えられています。
里山ユニットは、たとえ土のない場所であったとしても、小さな里山の森がうまれることを願って開発された経緯があり、多様なサイズがあります。
会社の事務所やマンションのベランダ、もちろん戸建て住宅でも、里山ユニットなら簡単に多様な在来植物を取り入れ、自分だけの小さな里山をつくることが可能です。
弊社の事務所にも置いてあるので、事務所にお越しの際にはぜひ一度ご覧くださいね。

地下にある事務所に飾っている里山ユニット

5×緑が見られる場所ってあるの?

5×緑のスタンダードワークスが見られる場所は、実はたくさんあります。
それだけ田瀬先生の考え方と作られるものに共感する方はとても多く、弊社だけではなく多くの会社が取り入れているのはもちろん、その優れたデザイン性で田瀬先生をご存じでない方も購入し小さな里山を育てられているからです。
そんな中でもぜひご覧いただきたいのが、弊社のモデルハウスです。
弊社のモデルハウスでは、田瀬先生にご指導いただいき5×緑のスタンダードワークスで施工した外構「一坪里山」がご覧いただけます。 5×緑のスタンダードワークスとは少し違いますが、小さな池や地の植栽、鳥が勝手に運んできた種が芽吹いたもの等、田瀬先生の考えられる小さな里山が庭に完成しています。
景色と呼ぶには小さな小さな庭ですが、それでも動植物の営みが循環する素敵な里山に育ってきているので、まだご覧になられたことの無い方はぜひご来場くださいね。

スタンダードワークス施工時の様子

そして、5×緑のスタンダードワークスを一度にたくさんの種類やデザインをご覧になりたい方には、大規模な街づくりを行った里山住宅博in神戸の会場をお勧めいたします!
弊社が監理を請け負い、統一した外構と街づくりを担った実績のある、5×緑のスタンダードワークスを使用した事例です。
これぞ里山!という景色と共に、大きな範囲で緑の良さを体感していただける場所となっております。

まとめ

「十年一昔(じゅうねんひとむかし)」とは「世の中は移り変わりが激しく、10年も経つともう昔のことになってしまう」という意味のことわざですが、実は現在「三年一昔」というように変わってきているのはご存じでしょうか?
私は息子に指摘されて初めて知りました。
特に、子育てや医療の場、流行なんかに当てはまるそうです。
確かに2~3年前には、日常で使うソフトにAIが搭載され、勝手に作業を行ってくれるようになるなんて夢でしかなかったですし、音楽なども移り変わりが激しく、年齢のせいかもしれませんが、流行を知ったときには終わっているということがよくあります(汗。

そんな十年一昔ですが、私が始めてモデルハウスを訪れたのは10年以上前。
今より私も清水も若かったころになります。
その時のモデルハウスは今よりももっと緑が小さく、初めて見る未完成な庭に「なんでこんなに殺風景なんだろう」なんて疑問を持ちつつ、清水に家の周りを案内してもらいながら田瀬先生のお話を聞かせてもらいました。
お恥ずかしながら、田瀬先生のお名前を知ったのもその時であり、こういう時間をかけて完成させる外構の作り方があると知ったのもその時が初めてでした。

モデルハウスの一坪里山当初の姿

それから10年以上が経過し、当時「何だろう?」と不思議に思った外構や、不思議な形をした金網を見かけることが増えました。
例えば、おしゃれなお店で。
例えば道を歩いているとき。
例えば、素敵な場所が紹介されるテレビ番組で、背景にちょくちょく映り込んだりしているように。

10年の時を経て、当たり前のように景色に溶け込むようになった、田瀬先生の考えられた5×緑のスタンダードワークス。
今が未来につながるからこそ、未来のことまで考えて今どうするかを考えられた結果、造園家の田瀬先生が生み出された5×緑のスタンダードワークスは、大規模な建造物だけでなく、普通のお家の外構や店先などに、日本在来の植物を手軽に取り入れることができるようになりました。
どんな植物でも選べる時代だからこそ、在来植物で構成する緑は凄く貴重であり、弊社モデルハウスのようにその土地の生きものにとっても欠かせない場になっていくのだと思います。

ちょっと育ったモデルハウスの一坪里山

冒頭に記載した通り、佐藤がブログで書いていた「器を作る」という考え方。
まさに、田瀬先生の5×緑を見ることで意味がよく分かります。
5×緑のスタンダードワークスはとてもシンプルなデザインで、植物がどのように育つのか。
それは住まい手さんの手入れと共に、そこを訪れる鳥や虫たちでも変わっていきます。
人の手で勝手に作り込まない大切さ、そこに住む生き物の暮らし方で変わっていけるような形にすることの重要性は、家でも同じことが言えるかと思います。

そこで住まない人間がこだわり、作り込み、暮らし方を決めてしまうよりも、お施主さんの希望を取り入れた器を作り、後は住まい手であるお施主さんがいろいろなものを入れて、自分たちの暮らしを作り上げていく。

なんだか無責任なことのように感じられるかもしれませんが、私は「器」と言い切れるほど、様々な物を受け止められるデザインと、性能に自信があるからこそ発せられる言葉だと思っています。
シンプルな物だけが持つ、包容力の大きさと、汎用性の高さ。
三年一昔の時代の今だからこそ、お施主さんに自信をもって、「代が変わるまで。代が変わっても、住み続けてくださいね」と言えるすたれない「器」を作れること。
これこそが、これからの工務店が目指すべき家の形では無いかと考えさせられました。

追記

田瀬先生に関する情報につきましては、私が勝手に感じたこと、思ったことなどを書かせていただいております。
詳しい情報や素敵なお人柄に関してはネット上にインタビュー記事を始め多く上がっています。
ぜひ、田瀬先生のサイトはもちろん、先生のインタビューなども追ってみてくださいね。

後藤 泉


阪神淡路大震災で自宅が半壊。その後慌てて建て替えた家は、気になる箇所が多く、夏は暑く冬は寒い家でした。そんなことから住宅業界に興味を持ち、ダイシンビルドのWEBスタッフを務めさせていただくようになりました。どうぞよろしくお願いいたします。プロフィール写真は、我が家の愛猫です。