暖冷房エネルギー|Q値、Ua値何を基準にすればいい!

枚方香里20181021-2の画像

Q値、Ua値、暖冷房エネルギーの比較

高断熱高気密において数値で示すのは当然です
ではどれが一番
本当に暖かい家、涼しい家が分かる基準でしょうか?

これは「暖冷房エネルギー」になります
単純な事ですが暖冷房エネルギーが一番大事になります
弊社は全棟QPEXで
Q値、Ua値、暖冷房エネルギーを出します

では具体的に説明をします

 

1.実際の家での比較編

実際に弊社で建てた家でこの数値を読み解きます

ヴァンガードハウス インスタの家

実際は建てた場所はすべて違います
少し気象条件が違います
A邸(付加断熱あり)Q1住宅レベル3
Q値 0.956 Ua値 0.38値
暖房エネルギー 11.66kwh/㎡  59.11kw/㎡(国の省エネ基準)
冷房エネルギー 1.74kwh/㎡   11.19kwh/㎡(国の省エネ基準)

B邸(付加断熱あり)Q1住宅レベル2
Q値 1.11 Ua値 0.40
暖房エネルギー 14.32kwh/㎡
冷房エネルギー 13.83kwh/㎡

C邸(付加断熱なし)Q1住宅レベル1
Q値 1.303 Ua値 0.46
暖房エネルギー 11.90kwh/㎡
冷房エネルギー 17.21kwh/㎡

D邸(付加断熱なし)準Q1住宅
Q値 1.819 Ua値 0.35
暖房エネルギー 36.31kwh/㎡
冷房エネルギー 1.74kwh/㎡

ここで注目はD邸のUa値です
この家は都会の狭小地なので
隣の家まで約40㎝ぐらいです
よくある都会のウナギの寝床になります
両サイドに窓をつけても仕方ないので
窓は合計3カ所のみです
採光として天窓も3カ所あります
開口部が少ないので当然ですがUa値はよくなります
でも暖房エネルギーは一番大きいです
Q値も大きいです

国の基準はUa値になりますが
この基準では住宅の省エネルギー性能が分かりません
全ては万能な基準は難しいですが
暖冷房エネルギーや消費電力
もっとわかりやすく言えば車では燃費
家なら暖冷房費で比べるのが一番いいです

QPEXのソフトなので冬場で24時間全室暖房20℃の設定です
本当は建築地もそろえないとダメですが
リアルにわかるようにそのままにしてます

QPEXの動画です(新住協関西支部の研修会です)

2.Q値ってなんですか?

「熱損失係数」の事です

ハウスメーカーさんが
弊社はQ値が1.3です等云々言ってますが
そもそも何のことなのか?
住宅の断熱性能を表す数値で
数値が低いほうが性能が良くなります
平成25年以前は
このQ値で断熱性能を表してました
家の外の外気温と
家の中の室温差が1℃の時に
1時間で逃げる熱の量を
床面積1㎡あたりで表す数値にります
単位はQ=w/㎡kになります

Q値の写真です
国の省エネルギー基準ではQ値で言うと
大阪、関西地域の多くは2.7w/㎡kになります
北海道では1.6w/㎡kになります
地域により性能区分が分けられてます

ここでは家の大きさは
関係が無いので
数値が良くても
家全体のエネルギーが分かりません!
例えば冬場で
外気温度が5℃家の中が20℃の時に
90㎡(27.22坪)で
Q値が1.8の家の必要な暖房エネルギーは
1.8×90×(20-5)=2430w
になります性能が良いですが
大きな家を建てるとこうなります
150㎡(45.38坪)で
Q値が1.2の家の必要暖房エネルギーは
1.2×150×(20-5)=2700w
性能が良くても大きな家は
暖房エネルギー必要になります
家が大きくなれば暖房エネルギーは増えます
車と同じですね
大きな車は燃費が悪いのと同じです

本当に知りたいのは
Q値ではなくて暖房エネルギーです
私の家は一年間でいくらの暖房費が必要ですか?
数値に踊られて必要な事が分からないと困ります

3.Ua値ってなんですか?

「外皮平均熱貫率」の事です

大阪は5、6地域なのでUaは0.87

ZEHは基準がUa0.6以下て言ってますが
そもそも何のことなのか?

Uaの解説20200316の写真

住宅省エネルギー技術講習のテキストより抜粋

住宅の内部から外壁、屋根、天井、床及び開口部から
外部に逃げる熱量を外皮全体で平均した値です
熱損失の合計を外皮等面積で除した値です
単位はUa =W/㎡kになります
こちらはQ値と違い換気や漏気は含みません

ヒート21では大阪を含む関西の主な地域(5、6地域)では
G1グレード 0.56以下
G2グレード 0.46以下
となってます

ヒート21の写真

ヒート21より抜粋

これも厄介な話で
D邸では
Q値 1.819 Ua値 0.35
暖房エネルギー 36.31kwh/㎡
冷房エネルギー 1.74kwh/㎡

A邸(付加断熱あり)
Q値 0.956 Ua値 0.38値
暖房エネルギー 11.66kwh/㎡  59.11kw/㎡(国の省エネ基準)
冷房エネルギー 1.74kwh/㎡   11.19kwh/㎡(国の省エネ基準)

この二つの家を比べるとよくわかります
D邸の家ではUa値がいいです
でもQ値で言うとA邸の家です

このからくりはD邸の家は都会の狭小地で凛家まで約40㎝
家の左右に窓をつけても仕方がないので窓はないです
合計3カ所+天窓3カ所です
窓が少ないと当然Ua値はよくなります
Q値の違いは一つは
1種換気を入れて換気での熱損失も入ってるからです
二つ目は
Q値は床面積で割ってます
Ua値は外皮面積等になります

外皮面積は正方形のほうが少なくなります
例えば10m×10m=100㎡の家で少し無茶な計算ですが
高さも10mとして真四角な家の場合は
壁4面、天井面、床面すべて100㎡なら
100×6=600㎡になります

細長い家では間口が2mで奥行きが50m
2m×50m=100㎡
高さも10mと同じ条件で考えると
間口と奥が2m×10m=20㎡×2面=40㎡
奥行きが50m×10m=500㎡×2面=1000㎡
天井と床は2m×50m=100㎡×2面=200㎡
合計1600㎡になります

同じ100㎡でも正方形は600㎡
細長い家では1600㎡です

面積の写真

少し乱暴な内容ですが
こんな感じでQ値、Ua値がなってます

性能を判断する目安にはなります
しかし住宅の燃費である暖冷房エネルギーはわかりにくと思います

4.暖冷房エネルギー

4-1.Q値と暖冷房エネルギー

暖冷房エネルギーの事です
車では燃費になります
これが一番省エネルギーの基準で分かりやすです

元々は省エネ住宅は
1970年代のオイルショックの時に北海道で
灯油代を抑えるために考え出された建築技術です
高断熱高気密そもそもどんな家

暖冷房エネルギーを考えるときには
省エネ住宅の理論を分かってないとダメです

 

ここでは暖房を例にします
家の中で20℃の室温を
保つにはどうしたらいいのか?
Q値×住宅面積×内外温度差になります
例えばQ値が2.7
住宅面積 132㎡
内外温度差15℃(気温5℃室温20℃)
この場合の計算式です
2.7×132×15=5467.5kw/h
上記になります
ここに生活熱(テレビ、冷蔵庫、人間等からの熱)
が600Wあったとします。
太陽の熱(日射取得熱)が
1,000wあったと仮定をします
(弊社の平均は600~800wぐらいです計算をしやすいように1000wにしてます)
5467.5-(600+1000)=3867kw/hになります

暖房エネルギーの説明の図

住宅の性能が高い
Q値が1.5になると
1.5×132×15=2970kw/h
同じように生活熱と太陽熱を計算すると
2970-(600+1000)=1370kw/hになります
高断熱住宅の基本です

Q値が2.7の国の省エネ基準より
35.4%(マイナス64.5%)のエネルギーで暖房が出来ます
これでQ1住宅レベル1です

4-2.日射取得熱

日射取得熱の事です
これは太平洋側は凄く大事になります

日射熱の写真

基本の計算式のおさらいです
例えばQ値が2.7 住宅面積 132㎡
内外温度差15℃(気温5℃室温20℃)
この場合の計算式です
2.7×132×15=5467.5kw/h
上記になります
ここに生活熱
(テレビ、冷蔵庫、人間等からの熱)
が600Wあったとします。
太陽の熱(日射取得熱)が
1,000wあったと仮定をします
5467.5-(600+1000)=3867kw/hになります

上記の場合に南側の窓をもう少し大きくして
日射取得熱を取ると例えば
1400wあると仮定します
5467.5-(600+1400)=3467.5kw/hになります

南の窓をトリプルガラスや日射遮蔽型
もしくは小さくして
太陽熱(日射取得熱)を少なく600wと仮定します
5467.5-(600+600)=4237.5kw/hになります

大阪、京都に家を建てて
南側から太陽熱(日射取得熱)を
100%取得するのは難しです
狭小地やマンション等の高い建物がある等
色々ありますが
それでも日射取得熱は大事です

家を建てるときには
無料で得られる太陽熱(日射取得熱)イメージしてください
間違っても面倒なので
すべての窓がトリプルガラス!
南面には日射遮蔽型ガラスは禁物です
ガラスの種類は各メーカーから出てます

枚方香里20181021-2の画像

この考え方はパッシブデザインの基本です
また省エネ住宅の基本でもあります
何度も言いますが
冬場の太陽熱は無料です
自然エネルギーは使いましょう
冬場の縁側のお日様は気持ちいいです

5.まとめ

高断熱高気密では何の為にしますか?

それは
「暖冷房エネルギー削減です」になります

純粋に光熱費の削減から始りました

暖房エネルギーの計算は何度しました
例えばQ値が2.7 住宅面積 132㎡
内外温度差15℃(気温5℃室温20℃)
この場合の計算式です
2.7×132×15=5467.5kw/h
上記になります
ここに生活熱
(テレビ、冷蔵庫、人間等からの熱)
が600Wあったとします。
太陽の熱(日射取得熱)が
1,000wあったと仮定をします
5467.5-(600+1000)=3867kw/hになります

単純に暖房エネルギーを減らす方法は
Q値を下げる(Ua値ではないです)
それと同時に日射取得熱を上げる
この計算をします
上記の家で単純にQ値を1.13
(長尾の家ぐらいです)

これで生活熱が上記と同じ600W
日射取得熱が少し大きく1300Wの場合は
1.13✖️132✖️15=2237.4kw/h
2237.4-(600+1300)=337.4kw/h
これぐらいまで下がります
上のQ値2.7の1/10以下になります
(日射取得熱はだいたいは600~800wぐらいです)

このぐらいのレベルになると
Q1住宅レベル4ほぼ無暖房住宅です

これに本当は年間の気温差や日射取得熱を計算します
それが暖冷房エネルギー計算になります
各社から色々な暖冷房ソフトが出てます
必ず使われ根拠のある省エネルギーを目指してください

Q値、Ua値はすごく良いのですが
「家が寒い」「家が暑い」と、なる場合もあります
ちゃんと暖冷房ソフト等で計算をしてると
暖房エネルギーが多いので
このままでは「まずい」となるはず

Q値、Ua値、C値に踊らされるのではなく
本当に冬は暖かく、夏は涼しい
快適な家で暮らしてください

 

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ABOUTこの記事をかいた人

大阪を中心に滋賀・奈良・京都・阪神間で高断熱高気密を専門とした注文住宅を建てている会社、ダイシンビルドの代表清水です。 ブログのコメント欄でも質問頂けるので、気になることがありましたらお気軽にご質問ください。